どれくらい?デザイン時に設定する最小文字と線のサイズ
2019年8月5日名入れ商材には必ず、どこまでプリントを入れることが出来るか、という【プリントエリア】が存在します。
そしてデザインを作成する際には、この【プリントエリア内】にデザインを収める必要があります。
ただし、キーホルダーや刺繍ワッペンなど、比較的小さな商材にデザインを収める際、どうしても、【プリントエリア】も限定的なサイズになってしまいます。
そこで試行錯誤するのが、どうやって小さな【プリントエリア】にデザインを収めるかという問題です。
特に文字や線などは、あまりにも小さすぎると、プリントが潰れてしまい、境界線がわかりづらくなったり、文字が読めなくなってしまいます。
プリント潰れの例と推奨サイズ
○シルクスクリーン・線のかすれ
こちらはかなり細かいところまで出ている方なのですが、線が細すぎるためにかすれてしまっています。
実寸で線サイズを計測すると、太さわずか0.1mm。
特に、直線ならまだ出る可能性はありますが、このような曲線では、インクが版に定着しずらく、このようにかすれてしまう場合があります。
プリントする商材にもよりますが、線の太さは最低でも【0.5pt以上(太さ約0.176mm)】が推奨です。
○シルクスクリーン・文字潰れ
こちらはシルクスクリーンのラバープリントの例です。
ライセンス商品のコピーライト文字は、その版権管理元の規定により、必ず入れなくてはならない場合が多々あります。
ですが、どうしてもデザイン重視で考えると、この文字はあまり大きく入れたくないところです。
このような場合、どうしても小さな文字で入れがちですが、あまり小さすぎると、文字が潰れてしまい、読めなくなってしまうことがあります。
プリントする商材にもよりますが、文字サイズは最低でも【5pt以上(高さ約1.76mm)】が推奨です。
○刺繍・文字潰れ
刺繍の場合は特に、元々の糸の太さが0.25mm〜0.5mmほどと、印刷物と比べると、綺麗に実現出来る太さが大きめです。
そのため、シルクスクリーンで実現可能なサイズでの文字実現は難しく、小さな文字はウニョウニョと何か表記してある程度になってしまいます。
はっきりと文字を出したいのであれば、文字や線の太さは【1mm以上】で、文字サイズは【12pt以上(約4.23mm)】を推奨します。
使う字体は【サンセリフ】がオススメ
英語フォントには、一般的に【セリフ】フォントと【サンセリフ】フォントの2種類があります。
上記の画像にもあるように、【セリフ】フォントには、飾りがついていたり、太さが均一でない形状をしています。
それに対して【サンセリフ】フォントは、飾りが無く、太さが均一で洗練された形状をしています。
これらをプリントする際、どちらが綺麗に出るでしょうか?
形状的になんとなくお分かりだと思いますが、やはりシンプルな形状の【サンセリフ】フォントの方が綺麗にプリントできます。
カーブが少なく、直線的な形状の【サンセリフ】フォントは、小さな文字でプリントするものだったり、刺繍に入れる字体として、一番適正のある字体です。
これは日本語の字体にも同じで、手書き風のカーブの多い字体よりも、ブロック体やゴシック体のような、カーブが少なく、直線的な形状の字体の方が、より綺麗にプリントできます。
まとめ
- 文字の大きさ = 基本的に5pt以上。刺繍では12pt以上。
- 線の太さ = 基本的に0.5pt以上。刺繍では1mm以上。
- 字体 = サンセリフ体やゴシック体などの直線的字体がオススメ
いかがでしたでしょうか?
シルクスクリーンなどは、デザインをプリントする際に版を作成するため、もし実際にプリントしたものの文字が小さくて綺麗に出なかった場合、修正するには、新たに版を作り直す必要があり、大きなコスト負担となってしまいます。
刺繍は版が無いので、修正は簡単ですが、新たにサンプルを作り直すなど、余計な時間がかかってしまいます。
そのため、デザインデータを作成する際に、ある程度、どれくらいの文字サイズや線が綺麗に出るのかというのを把握しておく必要があります。
これらがわかった上でデザインされていれば、余計な修正作業などもなく、コストや時間を大幅に短縮できます。
そして、この知識を織り込んで、いかに一発でデザイン入稿するのか、というのが真のデザイナーの腕の見せどころでもあります。
製版デザインを担当されている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!