デザイン版の反転とは?なぜ反転が必要なの?
2019年8月16日突然ですが、「反転された版」ってご存知ですか?
反転された版は、Tシャツやバッグなど、シルクスクリーン等でプリントしたりする際などに、多く用いられるものです。
ベテランのデザイナーさんなら誰しも知っていることかと思います。
言葉でいうと難しいので、こんなイメージ画像を用意しました。
通常版と反転版の違い
なんとなく違いはお分かりいただけると思います。
上の画像の場合、特にキャラクターロゴ部分に注目してみてください。
反転のものは、素材のベース色を取り入れて、キャラクターロゴを綺麗に見せる手法でもあります。
あえて、プリントインクを載せず、周りを囲って中を抜いた状態にすることで、素材のベース色を活かすことができるんです。
どんな時に反転するの?
特に、キャラクターロゴの場合、反転をせず、ただインク色を変えただけで載せ替えると、なんだか変なデザインになってしまうことがあります。
例えば、白地のTシャツに黒インクで刷る場合、特に何もする必要なく、シンプルにプリントするのみでOKです。
では、上の画像のように、ベース生地色が暗い色に、白インクでプリントする場合はどうでしょう?
通常の版で、ただプリントを白インクにしたものは、キャラクターロゴの配色がおかしく、写真のネガのような反転色に見えてしまわないでしょうか?
そういった場合に、「版の反転」を行います。
どうやって反転版を作るの?
反転の版を作るのは、複雑なようで簡単です。
まず、反転したい版の周りを線で囲みます。
線の太さはデザインのバランスもあるかと思いますが、より版を目立たせたいのであれば、太めの線が良いでしょう。
そして、塗りつぶされていたパーツと、抜きになっていたパーツを反転させます。
手順としてはこれだけです。
複雑なデザインでは、一瞬頭がパンクすることもありますが、冷静にパーツを見分ければ、そこまで難しくはない作業です。
使える色数が少ない時は「反転」を効果的に使おう
シルクスクリーンやホットスタンプなどは、1色ごとに版を作って重ね刷りしていく手法です。
そのため、あまり多くの色を重ねることができず、使用できる色数は1〜6色ほどまでと、かなり限られた色数になってしまいます。
さらに、版ごとに作成料金もかかり、重ね刷りの手間賃も加算されるため、色数が増えるほど、莫大な生産コストになってしまいます。
そんな色数を減らすためにも、「版の反転」は不可欠です。
例えば、上の画像にあるコインケースは、1色プリントでできています。
イラスト内の色を反転することで、ベース素材の色をうまく取り入れ、まるで2色あるかのように表現しています。
つまり、ベース素材の色を「1色」とカウントするような反転デザインを作ることが出来れば、その分効果的にコストを削減できるということです。
まとめ
- 版の反転とは? = 周りを囲って中を抜いた状態にすることで、素材のベース色を活かす方法。
- 反転の使い時 = ベース色が暗い色に白インクでプリントする場合や、使える色数が少ない商材の場合。
- 反転版の作り方 = 反転したい版の周りを線で囲み、塗りつぶされていたパーツと、抜きになっていたパーツを反転させる。
- 反転版を効果的に使えばコストを削減できる。
いかがでしたでしょうか?
製造業のデザインというものは、ただAdobe Illustrator™が使えるだけでは務まらない部分が多々あります。
私達の業界で言う「真のデザイナー」とは、ただデザインするだけでなく、製造方法や技術の限界、生産コストについても理解した上で、スムーズに入稿できるデータを作成できるということが必要になってきます。
そして、今回のような版の反転を駆使して、いかにコストを抑えて、素晴らしいデザインを作成するかが、腕の見せどころでもあります。
今回の記事が、デザインを担当されている方の、お役に立てれば幸いです。
FELIX the Cat ©2019 DreamWorks Animation LLC.
All Rights Reserved.
Lic. Dist. DIGGIT, INC.
www.diggit.co.jp